さいきのその日暮らしラジオ
20万の仕事、来月で終わりですと言われた日
の放送
「心配事の9割は起こらない」っていう言葉、よく聞くじゃないですか。あれ、僕も本当にそうだと思ってるんですよ。10年20年先のことを考えて、うわぁどうしよう、今のうちに投資しとかないと、みたいに不安になることってあると思うんですけど、だいたい起こらない。本当にそう思います。
ただですね。心当たりのある油断、ここちゃんとやってないから後で大変なことになるかもな、っていう予感。あれはマジで起きます。
つい最近、それが起きました。
僕、業務委託で採用支援の仕事を受けてたんですね。2026年の2月か3月くらいから受け始めた仕事です。数字も全部言っちゃいますけど、時給1,250円。最低賃金に近いくらいの、まあ東京水準ではあるんですけど、低めと言えば低めの金額です。朝10時から夜19時まで、1時間休憩で8時間。なので日給が1万円ちょっと。月にすると20万円くらいでした。
仕事の中身は、求人票を作って、掲載媒体に投稿して、応募者に返信して、書類をもらって、専用ツールに登録して、スプレッドシートに記入して、ステータスを変更して……と、応募者ひとりに対してやることが15個くらい出てくるんですよ。しかも動画編集とかショート動画作成みたいな、今っぽい副業案件を扱ってる会社だったので、応募者が何百人と来るわけです。
最初の頃は、これを本当に手作業でやってました。めんどくさいなと思いながら。
で、ちょっとずつ手伝ってもらうようにしたんですね。まずスプレッドシートに記入するところだけ。次に求人票のテンプレを覚えさせて「作って」と言ったら出てくるようにする。これをここのシートに入れといて、っていうのを足していく。いきなり全体を自動化しようとするとできないんですけど、小さいタスクを一個ずつ覚えさせていくと、だんだん僕がやる分量が減ってくるんですよ。
5ヶ月か半年くらいかかりました。気づいたら、全部勝手に動いてました。
僕は1日8時間働いていることにはなってるんですけど、実際には作業が自動で終わっていく。日給1万円が勝手に入ってくるみたいな状態になって、よっしゃ、と思ったんですよ。この手の案件、他にも増やそうかなと思ってた矢先でした。
先方から連絡が来ました。「うちの会社のAIで内製化することになったので、あと1ヶ月で契約を打ち切りたいです」と。
謎の状況だなと思いましたね。向こうはこれから社内で自動化していくと言ってるんですけど、僕はもう勝手に自分でやっちゃってるわけですよ。先に自動化してた僕の方が切られるっていう。
正直、うわマジか、急に来たな、とは思いました。月20万がいきなりなくなるわけですからね。年間にしたら240万円、自動で入ってくるはずだったお金です。普通だったら笑ってられる状態じゃないと思います。
ただ僕、これはずっと「きっとこうなるだろうな」と思ってたんですよね。
みんなAIだって言ってるし、いろんな会社が使い始めてる。だったら業務委託は真っ先に切られるよな、と。契約書も1ヶ月更新なんですよ。3ヶ月更新だったら年に4回しか更新のタイミングがないから、そのたびに不安になるかもしれないけど、1ヶ月更新だといつ切られるか分からない。逆に、今月も切られなかった、今月も大丈夫だった、っていうのが数ヶ月続くと、だんだん油断してくるんですよね。大丈夫かな、切られないかな、と思いながらも、普通にカレンダー通りに働いてる。
そこに突然来たわけです。
ここで思ったのが、冒頭の話なんですよ。9割の心配事は起こらない、っていうのは本当だと思う。でもそれは、わけの分からない妄想みたいな不安、具体化できない不安のことなんですよね。「将来お金なくなったらどうしよう」みたいな、形のないやつ。あれは起こらない。
でも、具体的にイメージできているものは、本当に起こります。自分の中で「これ、たぶんこうなるよな」と絵が描けているもの。あれは起こる。嫌なことでも起こる。
覚悟してたから、びっくりはしなかったんですけどね。思考は現実化するとか、引き寄せの法則とか、いろんな言い方があると思うんですけど、僕の実感としては、本当に起こるだろうと思ってたことは本当に起こる、ということです。
で、言われたその日のうちに、似たような案件に8個くらい応募しました。
なんでそんなに早く動けたかというと、残ったものがあったからなんですよ。採用支援って、けっこう複雑な仕事なんですね。担当社員さんとも応募者さんとも絡むし、このシートに書いたらあっちも書かないといけない、ステータスも変えないといけない、ってタスクがどんどん枝分かれする。それを全部覚えさせることができた。やり方自体はあの会社でしか通用しないんですけど、一部は他でも流用できるなと。それが僕の手元に資産として残ってたわけです。
しかも、たまたまやってた会社が大きいところで、しかもトレンドを追うような職種ばっかり募集してたんですね。動画編集とかショート動画の作成とか。ということは、その後追いをしてる会社がいっぱいいるわけですよ。今の会社より規模の小さいところがたくさん募集してる。なんならリーダーポジションで募集してたり、時給がこっちより高かったりする。
切られない限り、僕はずっとだらだら続けてたと思うんですよ。時給が上がることもないだろうなと思いながら。だから、この際だな、と。より時給の高いところに行こう、仕組みは流用しよう、と。応募者を1000人くらい取りましたっていう実績も、なんかできちゃってたので。実際に手を動かしてたのは僕じゃないんですけどね。
僕、この手の業務委託は「ライスワーク」だと割り切ってるんです。別にやりたい仕事じゃない。好きでもない。ただ飯を食うための仕事。だからキャリアがどうとか、人からどう見られるかとか、かっこいいかっこ悪いとか、どうでもいいんですよ。
業務委託って、その会社から見たら絶対に下っ端なんですよね。いつでも切っていい経費だと思われてる。プライドだけで生きてたら、なんで俺がこんな新卒がやるような雑務を、って思うと思います。僕もプライドはあるので、思う気持ちは分かるんですよ。
でも、そのプライドを降ろしてしまえば、下っ端が一番楽なんですよね。責任を負わされないし、掛け持ちしても何も言われないし、言われたことだけやってればお金がもらえる。正社員でそのマインドだったら終わってると思いますけど、いつ切られても仕方ないっていうリスクを持ってる側なんだから、別にいいじゃないですか。都合のいいところだけ取ればいい。
本当にやりたい仕事は別でやってるので、そっちはそっちで守られてるんです。商工会議所に入って横のつながりを作ったり、広告の打ち出しを作って担当者さんと打ち合わせしたり、税理士さんに会ってこういうお客さん紹介してもらえませんかって話をしたり。ホームページも作ってます。そっちでは責任も負うし、月額をもらって価値を返す仕事をしてます。そこは上を目指していい領域だと思ってるので。
だから今回、収入が減ることが、逆にチャンスになってるんですよね。むしろ動く口実ができたわ、という感じです。頭を掻きむしりながら、こういうのもできるんじゃないか、これもできるんじゃないかってアイデアが出てくる。今ちょうど手持ち無沙汰になっちゃったので、こうしてラジオを録ってるわけですけど。
前のラジオでも話したんですけど、僕の中での成長の定義って、上に伸びることじゃないんですよ。自分の人生の幅を増やすこと、コントロールできる領域を増やすこと。逆にストレスっていうのは、できる幅が少ないことだと思ってます。
毎日電車に乗りたくない、会社に行きたくない、人間関係がしんどい。あれがストレスになるのは、それ以外の選択肢を選べないからなんですよね。環境を選択できないから溜まる。でも、この環境に別にこだわりはないや、この仕事に理念もないや、でも僕にはこういう稼ぎ方もできる、っていう領域が広ければ広いほど、人生を選べるじゃないですか。それが成長なんだと思ってます。横に広げるほうの。
そう考えると、別に何の仕事をしてようがいいし、ずっと下っ端で働いてたっていいんですよ。
正直、ちょっとイラッとはしました。ムカついたし、ストレスも溜まりました。急に言うなよ、と。でも、どうせこうなるのは分かってたんだからって切り替えて、他に目を向けたら、楽しくなってきたんですよね。刺激もちょっとしたストレスも、ないと人生飽きちゃうので。このまま続けてても、どうせ飽きてたと思うんですよ。だったら早いうちにピンチが来てよかった。しかも生身で受けるピンチじゃなくて、準備してたものがある状態で受けられたので。
不安の9割は起こりません。でも、自分で「たぶんこうなるな」と絵が描けているものは起こります。だったら、起こる前提で準備だけしておいて、あとは今やることをやる。やることがいっぱいあると、余計な不安を考える暇がないんですよね。暇だから、他に考えることがないから、将来の恐怖を考えちゃう。僕、AIを使ってるとはいえ毎日めっちゃ眠いですから。
現場からは以上です。