さいきのその日暮らしラジオ
事務員ゼロの工務店に電話したら月8万になった話
の放送
今回は、知り合いの工務店に電話した日の話だけをします。他にもいろいろ作っているんですが、一番自分で「ああ、こういうことか」と思った場面がここだったので。
僕、ココナラに出品をバンバンしていたんですよ。建設業に絞って、ホームページ作りますよ、求人票作りますよ、広告運用しますよ、と。全般でやると広すぎてライバルが多いので、建設業のプロですという看板にして出した。でも出してすぐって、当たり前ですけど星ゼロじゃないですか。アカウントに信用がない。レビューがゼロの人から買う人って、まあ、いないですよね。
それで、昔2ヶ月だけ働かせてもらったことのある工務店に電話したんです。ここで働いてから前職の建設DXの会社に入ったので、僕の中ではなんとなくストーリーがつながってる会社でした。
電話して言ったことは、かっこいい話じゃないです。「これこれこういうことをやるんで、なんかちょっと安いやつでいいから買ってくれません?」です。実績作りたいんで、と。正直に。
そこから話が盛り上がってきて、「どんなことできるの?」という話になった。僕、現場のお手伝いはもうできないんですよ。昔ちょっとやっただけなので。でも建設業にはめちゃくちゃ詳しくなったし、AIもバチバチ使えるんで何でもできますよ、と言いました。
そのあと、自分でもちょっと驚いたんですけど、こういうことを口に出していたんです。「事務員、今、全部自分でやってるでしょ」と。事務員がいないから全部自分でやってるでしょ、と。雇うって言っても、給料20万、2、3万だったとしても、社会保険とかいろいろ考えたら月30万以上かかりますやんかと。僕とかマーケもできますやんかと、ホームページも作れますやんかと。僕みたいなのを普通に雇うなら、月50万でも正社員って安いですよ、と。
これ、ちなみに本気で思ってるんですよ。営業トークとして言ったんじゃなくて。
で、いろいろ話して、「じゃあ自分、ちょっと事務作業やってほしいわ」「ホームページも作ってほしいわ」と言われたので、いいですよ、と。とりあえず月8万円もらうことにしました。
月8万です。
僕、前職で建設業向けのDX支援を1年ちょっとやってたんですけど、あそこは最初「月5万から」って言うんですよ。でも結局フルサービスを受けようと思ったら25万、30万、それ以上かかる。月50万払ってるクライアントさんもいました。僕はその会社で何千万かは利益を出したと思うんですけど、それは裏方の事務員さんや開発部や事業部に分けられていくから、僕の取り分はないんですよね。歩合給もなかったし。手作業でやってたからしんどいのに、あんまり面白くなかった。
そのときずっと思っていたのが、1案件で5万とか10万が本当に自分のポケットに入るんだったら、全然十分だな、ということでした。会社の看板で25万もらって、自分に1円も残らないより、8万のほうがいい。そういう感覚です。
で、この工務店がどういう状態だったかというと、びっくりするほど利益を把握してないんですよ。売上がいくらとか、利益がいくらとか、分かってない。これ建設業あるあるで、前職でも結構あったんですけど。
この会社は、年に1回の確定申告のときに、もう引退してもいいくらいの80代のお母さんが、一応事務員っちゃ事務員なんですけど、Excelができないんです。できない。だから税理士さんから年に1回「お宅の売上はこうでした、利益はこうでした」ともらう係みたいになってる。つまり自分の会社の売上が何ぼなのかを、ほぼ把握していないところからのスタートです。
普通は「うわ、ここからか」と思うところだと思うんですけど、僕は逆にこっちのほうがやりやすいんですよ。ある程度どこかのシステムを使っちゃってるとか、ある程度管理されてるとかだと、僕が関与するところがない。むしろゼロベースのボロボロのほうがいいなと思いました。
それで何を作ったかというと、LINEです。
吉子さん(経理)という名前のLINEアカウントを作って、そこにAIをつないだ。社長が領収書や請求書の写真をLINEで送ったら、金額と日付と取引先と現場を読み取って、スプレッドシートに記録する。「合ってますか」と聞いてくるので、合ってたら押すだけ。ホームセンターで10品目買って、上から3番目だけ違う現場の分だった、みたいなときは、そう言えば分けて記録する。
社長もExcel使えないんですよ。本当に職人さんなんで、事務作業はマジでしたくない。どうせ何もしたくないだろうから、一番簡単な仕組みを作ってあげようと思って。イメージで言うと、事務のおばちゃんを雇う感じです。僕が事務のおばちゃんみたいなもので、そのおばちゃんに丸投げするスタイルにしてあげたかった。だから窓口はLINEにしました。
前職みたいなIT会社って、自社のプラットフォームを作りたがるんですよ。会員登録して、ログインして、かっこいいデザインの画面で、っていう。でもお客さんからしたら全然いらないんですよね。ログインするのもめんどくさいし、使い方を覚えるのもめんどくさい。かっこよさもいらない。全部IT会社側の自己満足なんですよ。
そういうのを作るほど、どんどん無駄に高くなる。開発部の人を増やさないといけないし、新機能を作るのにまた人が足りなくなって、また雇って、人事部も動いて。開発部はお客さんと接しないから、僕らみたいな営業が「こういう新機能が出たんですよ」と説明しないといけない。あれ、高いだけなんですよ、本当に。
お客さんは、目の前の雑用が簡単にどんどん消えていく感覚が欲しいだけなんです。それだけ。全職で散々それを見てきたので、全部LINEで完結させようと思いました。
もうひとつ、この話には続きがあって。飲食店でも同じことができるかなと思ったんですよ。嫁の友達が夫婦で料理人をやってて、書類がすごいとテンパってたと聞いたので、職人さんは事務が苦手なんだな、飲食もいけるかもと。それで焼肉屋をやってる友達に電話したんです。
結論、リクルートが強すぎました。ホットペッパーグルメ。あれ、僕らからしたら予約するだけのシステムじゃないですか。でも売上管理も、利益管理も、仕入れを突っ込んだら差分も出るし、誰が何時に来て何を食べたかの履歴も残る。これ一発だったら事務員いらないな、というくらいでした。それが月7000円です。僕は月数万円を取ろうと思っていたので、ここは絶対に勝てないなと思って、無視することにしました。
建設業はリフォームで何百万、何千万で、エンドユーザーの利用頻度が少ない。だから大手がインフラを整備してないし、やる価値がないからできない。逆にそこに隙があるな、と。
それで月8万からスタートして、今後は最低10万からにしようと思っています。でも僕、この事業を大きくしようとは全然考えてないんですよ。遊びでやってるので。生活していくだけのお金があれば十分じゃないですか。とりあえずこれで100万作れたら、次やろうかな、くらいの感じです。だから広告も出さない。紹介で細々と。「なんかおもろい人いるよ」みたいな紹介のされ方でいいんです。会社ってそんな紹介のされ方されないじゃないですか。
あと、まだ契約は1件です。2、3日前に作ったばっかりなので。だから「すぐ行くな」と思ってるだけで、まだ何も証明されてないです。再現性も微妙だと自分で思ってます。僕はたまたま前職で建設業をやって、たまたまその前に工務店で2ヶ月働いていた。流れでこうなっただけで、これをやるために会社を辞めたわけでもない。
ただひとつだけ言えるのは、僕が「月50万の案件を取れる人」を降りた話だということです。業務委託でも、責任のある仕事、数字を生む仕事のほうが単価は高いんですよ。プロジェクトマネージャー募集で月5、60万、100万いくやつもある。でもしんどいし、他人のビジネスをそこまで本気ではやれない。だから僕はあえて一切やらない。そう決めてから、80代のお母さんがExcelを使えない工務店に、実績ください、と電話できたんだと思います。
現場からは以上です。