さいき

さいきのその日暮らしラジオ

朝10時から19時までシフトに入って、僕は何もしていません

の放送

今、テストでとあるベンチャー企業に業務委託で入っています。独立してるのに、わざわざ外の会社に入ったんです。しかもシフト制で、朝10時から夜19時までフルフルで入れてます。

それで、僕は何もしていません。

こう書くと感じ悪いですよね。でも本当に何もしていないんです。入ってるのは採用支援の部署で、営業はしないし、お客さんの対応もしない。他の部署や関連会社から「こういう人材が欲しいので求人票を作ってください」みたいな依頼がチャットツールでパンって飛んでくる。それを見て求人票を作って、確認してもらって、OKが出たら媒体に掲載していく。基本はその繰り返しです。

で、その作業はほぼ自分の手では触っていません。もらえるのは月20万か25万くらい。そんなに大きい額じゃないです。でも、この20万の入り方が、今までの20万と全然違うものだったんですよ。

何が違うかというと、僕にはこの仕事の責任がないんです。

採用チームにはトップの女性の方がいて、たぶんその人が上の部署から「このポジション全然埋まってないんだけど」みたいなことを言われてるんだと思います。その人が責任者で、そこから「こういうところを修正してほしい」というのが末端の僕に振られてくる。僕は言われたとおりに手を動かすだけ。数字を背負ってるのは僕じゃない。

これに気づいたとき、正直ちょっと興奮しました。逆説的すぎて、自分でも発見だなと思ったんです。

僕がずっと嫌だったのは、お金を稼ごうとすると必ず責任がセットでついてくる、という構造のほうでした。

会社員で稼ごうと思ったら、営業成績を上げて、出世して、部下がついて、2人3人が10人になって、課長になって30人見て、部長になったら100人200人の事業部を見る。給料は30万が40万、40万が50万、50万が65万って上がっていく。年収700万800万、頑張って1000万。わかりやすい方式です。でもその分、責任がむちゃくちゃ増える。部下のマネジメントもしないといけないし、辞めそうな人にはフォローも入れないといけないし、毎月「あと2件足りないぞ、3件足りないぞ、どうすんだ」と部署として追われる。

じゃあ独立すればいいのかというと、同じなんですよね。全責任が自分になるだけです。何をやっても自分の責任で、売上が上がらなければ自分のせいだし、それで生活が脅かされるのも自分のせい。決まった給料が入ってくるわけじゃないから、毎月毎月、自分で回し続けないといけない。だから経営者の人たちは、毎月決まったお金がチャリンチャリン入ってくる仕組みに憧れるわけです。僕もずっとそうでした。

どっちを選んでも、責任というストレスからは逃げられない。そういうものだと思っていたんです。

でも僕、これがずっとしんどかったんですよ。

仕事がどれだけ楽しくても、家に帰っても仕事のことばかり考えちゃう。特に自分個人の数字だけじゃなくて、部署とかチームの数字まで全部背負う立場になると、いくらお金をもらっていてもしんどいと思うんです。メンタルの状態がそのままプライベートに出てくる。機嫌が悪いのも、上の空なのも、全部家に持って帰ることになる。

で、僕はそれが嫌なんです。できるかできないかじゃなくて、やりたいかやりたくないかで言ったら、やりたくない。生活を潰してまで会社に捧げる生き方は、僕には見合ってないなと思ったんです。

だから今回、わざと「責任のないところ」に入ってみたんです。

業務委託の求人って、だいたい営業なんですよ。「この地域の新規開拓をお願いしたい」「1件成約したら何万円」「電話でアポが何件取れたらいくら」みたいなやつ。正社員があまりやりたがらない仕事を業務委託に振るのは、まあ常識ですよね。そういう募集に「月収100万円も可能」って書いてあったりする。

でも、行ったらしんどいじゃないですか。ずっと電話しないといけない、ずっと顧客対応をしないといけない。そして成績が上がらなかったら報酬も高くない。しんどい割に合わないなと、僕は思うんです。

それで逆に、売上を上げる部分にまったく関わらない仕事のほうを取りにいくことにしました。事務作業とか、求人票を作って掲載するとか。言ってしまえば、事務のおばちゃんがやるような仕事です。自分の手でやるなら正直やりたくない、しょうもない作業。それを、むしろ好んで受けにいこうと思ったんです。

今の案件が思ったより回ってるので、同じような案件をもう1社、2社と同時に受けられるなと考えています。作った仕組みをコピペしていくような感じですね。東京の最低時給が1216円くらいで、業務委託の最低価格もだいたいその水準です。仮にそれを何個か重ねられたら、時給の積み上がり方が変わってくる。

ただ、まったく自動ではないです。打ち合わせには僕が出ます。精度が悪くて修正するのに、めちゃくちゃ時間がかかってます。変なところに変なデータを入れてしまって指摘されることも、たぶんこれからもある。「ここはこうやるから絶対にこの動作を間違えるな」みたいな細かい決めごとを、一個一個潰していってるところです。完全に手が離れるまでは、まだもう少しかかります。うまくいったと言い切れる段階じゃないです。

何が言いたいかというと、僕はずっと「お金をたくさん稼ぐには、たくさん売るか、成績を上げるかしかない」という前提で生きてきた、ということなんですよね。

コンテンツをいっぱい作って売るか、会社に入って営業成績を上げるか。その2つしかないと思ってた。だから稼ぎたいと思うたびに、自動的に責任も増やしにいってたんです。上限を上げようとすると、必ずしんどさもセットで上がる。そういう決まりだと思い込んでいました。

でも、その2つはセットじゃなかった。少なくとも、セットにしない道の入り口はあった。それだけのことなんですけど、僕にはけっこう大きい発見でした。

今考えているのは、この仕組みをある程度まで作って、時間とお金を確保することです。これをやりたくて生きてるわけじゃないので。やりたいことは別にあって、ひとつは、子どもにお金の稼ぎ方を教える場をオフラインで開くことです。学習塾だと成績を上げることにコミットしないといけない。偏差値50の子を65の高校に、と期待されて親御さんがお金を払うわけですから、上がらなかったら何のこっちゃという話になる。そこには責任が生じます。

でも、ゲームを作ろう、アプリを作ろう、好きなアニメの攻略サイトを作ってみよう、という場所なら、賢くさせる責任も成績を上げる責任もない。子どもが頭の中で妄想しているものを形にするのを、横で見てるだけでいい。お金が絡む部分のデリケートなところはこれから考えないといけないですけど。

そういうことをやるために、今は手前の仕組みを試している段階です。複数の案件を同時に動かせるのか、どこまで手を離せるのか。続報はまた話していきます。

責任のある仕事を取りにいくのが偉い、という感覚が、僕の中にはずっとありました。責任のない仕事をしている自分は、どこか格下な気がしていた。でも、その順位も結局は誰かの物差しなんですよね。しんどさを引き受けた量で自分の価値を測るのを、僕はいったんやめてみています。まだテストの途中なので、こけたらまた笑って報告します。

現場からは以上です。